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070322: CIRQUE DU SOLEIL’s LOVE

シルクドソレイユのLOVEを見た。ラスベガスにきてどうもカジノの雰囲気が耐えられなくかなり弱っていたのだがこれを見て復帰した感じ。

公演は、このためにビートルズのプロデューサーであったジョージ・マーティンとその息子によって編集されたLOVEにあわせて演じられる。というより、LOVEがこの公演のために作られている。CDのほうを先に買っていてけっこう聞いていたのでどんなものか興味津々だったが、想像以上に音楽とマッチした内容だった(あたりまえか)。

アルバムLOVEのほうは、5.1ch版とステレオ版とが用意されていたが、この会場ではなんと全席の頭部にステレオスピーカーがついていて、サラウンド音はここから鳴る仕掛け。メインのPA(これも会場が広いのにディレイを感じさせない優れた作りであった)で低音を含めた音楽部分、サラウンドスピーカーで効果音とがならされ、おかげで円形かつ上下にすり鉢状になっている空間でもきちんとした音楽がなっていた。これを聞くために公演を見に行ってもいいくらい。できれば滞在中にもう一回行きたい。

中学生時代に学校にウォークマンを持って行き、無駄に授業中に学生服の袖からイヤフォンを引き出して聴いたりしていたとき、ビートルズは左右にパートがわかれていて(右に伴奏、左に歌、とか)、音楽にならなくて驚いたことがあった。あれは要は2チャンネルミックスということだと思うんだが、そういう聴き方を前提にするというのはどういうことだったんだろうか?このLOVEでようやくビートルズを2チャンネルミックス以外できちんと聴く、ということになる(たぶん)。

公演はシルクドソレイユらしいサーカスを単なる見せ物ではなく、ストーリーがあるパフォーマンスに昇華させたものだったが、約2時間ずっと飽きずにぐぐっとひきこまれながら楽しめた。シルクドソレイユの公演というと、サーカスを超えたサーカスという印象はあったものの、どうしても最後は中国雑伎団的な「技」を強調する印象があって、東洋人としては(?)どうもそこがしっくりきていなかった。が、このLOVEは、音楽をテーマにしているだけあって、全編そういった技を踊りに落として表現している。なので、踊りじゃない技だけの表現はナシ。これがつぼにはまった。

舞台上は、おもちゃ箱をひっくり返したようにずっと落ち着くことなく、人が飛び交い、誰かが走っている。これだけ同時に動いていてもなにもぶつかったり絡まったりしない舞台機械はすごい。そこだけで一つの芸術と呼べる(天井を見上げると考えられないくらい複雑に動いている)。前述のように、みんななにかしら踊りを踊っているので、一種のミュージカルとも呼べなくもない。バレエや新体操の技もこういう総合的な踊りの中に昇華されると、単なる競技とは違う、別なモチベーションがわくと思う。

それにしてもこの運動能力はただものじゃない。これだけの能力を維持して、しかも毎日の公演をこなすのはただごとではないが、この公演を作り出す達成感はそれに代え難いものであろう。

070320: Fremont

Seattle | Fremont

シアトル3日目。またもや夜中に目が覚め、しかたがないので起きている。ぶらぶらと散歩し、今日はタリーズへ。ベーグルサンドとラテを食べながらblogを書いていると、ピアノの演奏が始まる。わりと大きめの店内だったが、次第に人も増えて、ちょっとした社交場と化している。日本のコンビニ以上にカフェがあるが(そのかわりにコンビニはない)、こういうちょっと話す場所がすごくしっくりきていて、かつ活用されている感じがすごくする。加えていうと、街であまりティーンを見かけない。たぶん、一定の比率でティーンもどっかにいるんだろうけど、街は大人、しかもビジネスマンじゃない街の人々の場所になっている。そういう街の土壌があったから、シアトル系カフェも生まれたんだろう。

飯を食って、パイクプレイスマーケット方面へ向かう途中でRadioShackを発見!Apple公認店のステッカーを確認して店内へ入ると、iPod USBケーブル(しかもACアダプタもついていて充電ができるやつだった)をゲット。一安心。

バスに20分くらい乗って、カート・コバーンが好きだったというフリーモントへ行ってみる。街が下北のような大手経営じゃない感じ。コミュニティ・タウンと呼ばれるゆえんか?街をぶらつき、なぜか道に迷っていた台湾の方を案内し、またバスに乗ってダウンタウンへ戻る。

バスは車いす対応でエレベーターがついていて、実際にかなりつかわれている。車いすの人が乗ると、前方の椅子があげられて、そこにベルトで固定するしくみ。驚くのは車いすがみな電動で、街中でもかなりの数の車いすの人を見かけた。坂が多い街なのにたいへんだと思ったが、それ以上にdisableの人にも過ごしやすい街だということなんだと思う。

シアトルに来て3食晩飯を食べたが(昼はサンドイッチとか)、どれも味付けが繊細で、かつ量も多すぎなく、うまかった。これがシアトルだからなのか、それともアメリカの味が向上しているからなのかは、これから行くラスベガスで確認しよう。

時差ぼけで睡魔に耐えきれず、ホテルで仮眠。その後また図書館へ向かい、閉館まで今日は専門的に調査を行う。なかなかおもしろい知見が得られた。その内容は別エントリで。

図書館を出ると雨。ホテルに戻り(歩いて1分)、またホテルのレストランで夕食をとり、荷物をパッキング。明日はラスベガスへの移動日。国内便でもセキュリティチェックが厳しく、早めにいかねばならないのと、飛行機を乗り継がねばならないため、まる一日つぶれる予定。やれやれ。朝、一瞬だけ図書館に行けるので、追加で見る必要がある箇所をチェックして就寝。

070319: Seattle Central Library Review #1

Seattle

時差ぼけで夜中に目が覚め、一仕事こなし風呂に入り就寝。風呂に入りまた寝て8時頃起きる。ホテル1Fのスタバで朝食。ターキーベーコンのサンドイッチを食べたが、ぱさぱさしておいしくない。blogを更新。関係ないが、ここシアトルが発祥のスタバ、タリーズ、シアトルズベスト(あともう一個名前忘れた)は、すべて同一資本なのだそうだ。けっこう驚いた。

シアトル中央図書館へ。余談だが、この図書館、施設としてはSeattle Central Library(シアトル中央図書館)なのだが、組織としてはSeattle Public Library(シアトル公共図書館)でドメインもspl.org。が、ガイドブック等では両方の名称が散見される。オフィシャルなシート等ではSeattle Public LibraryのCentral館的な書き方がされているので、そっちが正しいのだろう。今回は、Seattle Public LibrayのCentral Libraryを見学しているので、一応Seattle Central Libraryに統一する。

ここは、4th Streetと5th Streetとに面しているが、この2本の通りの間は坂になっていて、5th側が建物の3F、4th側が建物の1Fと実に2F分の差がある。ホテルは4th側の図書館の斜め向かいなので、4th側から入る。昨日もざっくりと一回りしたが、まだピンと来ていない。せっかくなので、あまり前知識をいれてピンとこさせないで、自分自身の認知モデル構築の過程を観察したいと思う。

入り口でリーフレットを手に取っていると、スタッフの女性がすかさず「need help?」と声をかけてくる。応えると、フリーツアーを紹介される。3F入り口で受付とのこと。事前にメールで連絡をしていたので知っていたが、お礼を言って3Fへと向かう。3Fでは、5th側の入り口の前の総合受付でツアーの申し込みを受け付けいていた。受付はボランティアのおじいさん。受付までボランティアとはすごいな。名前と住所を記す。ツアーまで10分くらいあったので、入り口近くの検索端末で本を探す。こういった検索端末でブラウジングをするのはとても苦手なので、知っている本を数冊表示させてみる。inactive、activeがそれぞれ何冊か表示されている。後でわかったことだが、ここでactiveといっているのは、このcentral libraryだけではなくて、Seattle Public Library全体での在庫のようだ。ちょっと紛らわしい。

11時になり、ツアーが開始。もちろんツアーを率いるPatさん(たしかそんな名前だった)もボランティア。まずは、館の歴史から。昔からあった図書館が焼失し、レム・コールハースがコンペで勝ち残り設計を行った経緯など。シアトル市の環境基準に適合させるために、ガラス張りの表面にはメッシュが埋め込んであって光量を減らす工夫がなされていたり、床材には廃材が利用されていたりといった建築上の話を聞く。

まずは3Fからのツアーとなる。3Fは「シアトル市のリビングルーム」で、新刊雑誌、新聞、CD/DVDなどのメディア素材、ソファなどが用意されており、フロア全体がリラックスした雰囲気。最上階である11Fまでの吹き抜けや、上位階の雰囲気がわかるような空間の作り方は開放感と共にここで何が行われているかを常に感じさせる。また、3Fには「フィクションのためのデスク」があり、フィクション全般にわたってのアドバイスを受けることができるとのこと。ある意味マニアックなそういったデスクをメインのフロアに持ってくるあたりは大胆だ。また、ここには非健常者向けのLEAPというエリアがあり、ここに本を持ち込むとスキャンして音声読みだし機材で読んでくれる。一度1Fへ降りる。

1Fは大きく2つに分かれており、片側はLEW: Language, English, Wordという語学蔵書のコーナー。床のフローリングは世界の様々な文字の木版になっている。 反対側は、子供向けフロア。一見プレイルームのような空間に子供達が遊びながら本を読んでいる。ちなみに、一般には立ち入ることができない2Fは返却された本の整理を行ったりするようなスタッフエリア。通りに面した返却ポストからはむき出しのベルトコンベアで自動的に2Fまで本が移送される。

3Fに戻り階段で4FのMeeting Roomsエリアへ。ここは壁がすべて赤く塗られていて、通路は赤い洞窟のよう。「つまらない」会議を少しでも楽しくするため、の赤だそうで、なので会議室自体はいたって普通の部屋。

階段で5FのMixing Chamberエリアへ。ここがたぶんこの図書館の目玉だと思われる。Mixing Chamberはその名の通り、混ぜ合わせるエリア。フリーに使える140台のPCや、アプリケーションの操作支援スタッフ、コンシェルジェ的なスタッフなどが用意されており、調べ物をしたり、自分で集めた素材を集約させる作業などが行える。要は知的生産エリア。このエリアではみなが熱心に作業を行っている。もちろん単にネットサーフィンに興じているだけの人もいるだろうが、コンシェルジェデスクにも人が絶えない。コンシェルジェデスクには、George Legradyらによる借りられた本のタイトルをタグ的に切り出して頻度を見せるようなメディアアート作品などが展示されているが、あまりにも環境になじみすぎていて人々がそれを活用する、というよりは単なるオブジェとして置かれているだけになってしまっている。人が集まる場所に、こういったコンセプト主体のブラウザなどが置かれる状況ではありがちな話だが、こういったビジュアライゼーションにおいては、利用者のリテラシーにあわせた「使ってもらえるもの」が何かをもっと考える必要があるだろう。

それはさておき、Mixing Chamberでの活気には少なからず衝撃を受けた。ここで生み出されているものがなにかをもうちょっと観察してみたい。日本ではこういった環境はどこになるのだろう。

6F〜9Fは書架。この図書館では、蔵書の75%が公開されているとのこと。6F〜9Fはスパイラル式になっており、ぐるぐるまわりながら上っていくことができる。5Fからは読書コーナーの10Fまで一気に上るエスカレーターを利用することもできるが、このエスカレーターも途中適宜好きな階に立ち寄ることが可能。おもしろいのは、下りのエスカレーターがないこと。下りは階段もしくはエレベーターを用いる。METAが手がけたデュッセルドルフ空港の情報デザインでは、「出発する人は到着した人よりも急いでいる」の原則を用いて、出発者用のサインを通路で手前に置くことでユーザビリティを向上させたが、ここでも「探しに行く人は急いで、本を見つけたらあとはゆっくり」というコンセプトが見て取れる。

また、開架エリアでは、床に「981」などの分類コードが埋め込まれており、ここを見ながら本を探すことができる。この床の分類コードはたとえば雑誌エリアでは、「MAG」などに変わる。文字ははめ変えられるように作ってある。個々の本棚はわりと地味なスチール棚で、ただアクリル板でサイドにアクセントがつけられているために、貧相な感じはしない。
余談だが、この建物では、エレベーター、エスカレーターなどの輸送機器はすべて派手な黄色が使われており、移動経路を強調しているとのこと。建築にとけ込んでいる。

10Fに上ると、Readingエリア。ここにはさまざまなソファや、デスクなどが用意されている。デスクには基本的にPC対応で電源タップがついている。チェアはシンプルなんだけど、Vitraの03みたいな素材ので座り心地が最高。仕事場にもってこいの環境。360席が用意されている。ここに限らず、シアトル全体にもいえるが、いわゆる高校生的なティーンエイジャーがあまり見受けられない。日本では図書館というと高校生の社交場になってしまうことが多いが、ここCentral Librayは大人が本や雑誌を読む場として機能している。このあたりは国民性なのであろうか?
書棚の階がスパイラルを描いていることもあり、館内の至る所が傾斜している。このため、机が並んでいるフロアでも「横並び」感はなく、言ってみれば段々畑にようになっている。ということもあり、館内での現在位置把握は大変こんなんであるが、そこは常に移動をし続ければなにかが見つかる、という作りでうまく解決させているように思える。機能的か、というと欠点は多いが、知的生産のための空間、と考えるとその欠点を補ってあまりある効果が得られている。
しかしながら、全体のサイン計画としては、トイレの場所、エレベーターの場所が課題である。これらのフォローのために館内には張り紙や追加の看板が用意されていた。やはり当初の計画のサインでは不足していたのであろうと思われる。

約1時間のツアーの後、利用シナリオに基づくタスク型のテストなどを実施した。明日観察も実施する。

おもしろいことにツアー後には館内のマップがよくわかるようになった。これは、この館の利用シナリオである、

  1. 1F or 3Fで蔵書検索→6~9Fで本をピックアップ→3F or 10Fで読書
  2. 5F Mixing Chamberで創作活動
  3. 10F Readingエリアで仕事
  4. 3F Living Roomで時間つぶしや情報収集

という典型的な4シナリオが頭に入ったせいで、館の利用モデルと自分のやりたいこととをどうやったら解決できるかのマッピングが可能になったからである。このことからも、「典型的な利用シナリオの提示による情報システムの全体像の理解促進」というしかけの重要性が感じられた。

070318: シアトルへ

Seattle

足のむくみに耐えながらシアトルに到着。空港では、税関を出た後にまたトランクをチェックインして、ラゲージクレームから受け取るしくみ。乗り継ぎコーナーに来てしまったのかと思って一瞬焦る。

ホテルに到着。シアトル中央図書館(SCL)の目の前のホテル。時差ぼけで胃が気持ち悪い。気晴らしのため市内を散歩。天気がよく、歩くのにちょうどよい。なにか食わねばと、ツナサンドとスープを昼飯に食べ、てくてく歩く。

シアトルは人口60万人弱で、街を歩いた感じは仙台よりもちょっと小さい感じ。暮らすにはちょうどよい規模な気がする。

海沿いのあたりに出ると、大きなマーケットがある。海産を中心に、乾物や果物などを売っている。香港の露天を思い出させたが、雰囲気的にはロンドンの街角の果物売りがいっぱい並んでいる感じ。英語で文字が書かれているからかもしれない。世界中どこでも市場は見ていて楽しい。

ホテルに戻り、やはりぼけぼけなので近くのプールでひと泳ぎする。部屋に戻ると、Skypeで木達さんを発見。SCLまで来ているという。晩飯の約束だったが、SCLへ向かい合流。いっしょにスペースニードルという展望台へ行く。シアトルにすんでいたこともある木達さんによると、この晴天はシアトルではめずらしいとのこと。曰くこの時期は基本的には雨がちだそうだ。

展望台からは周辺が一望できて、だいぶ気分がよくなった。そのまままたマーケット近くまで移動して、海沿いのレストランへ。オイスターやらカニのカクテルやら、サーモンステーキ、オヒョウのフィッシュアンドチップス、を食べる。オヒョウってはじめて食べたけど、貝柱みたいに身が割けて、ちょっと不思議な食感だった。味はヒラメ科らしく淡泊でフィッシュアンドチップスとしてはうまい。僕が米国で食べ物がうまいと思ったのはバルチモアの海産物とニューオリンズだったが、シアトルの海産も調理が過剰でなく、量も妥当でポイント高し。

木達さんとはじっくり話したことはなかったので、いろいろと話せて楽しかった。ミツエーリンクスが「みっつの栄」とは知らなかった。
歩いてホテルへ。即寝てしまい、夜中に目が覚め、仕事をこなしてまた就寝。

(070319: スカイニードル→スペースニードルに修正。木達さんサンクス!)

070317: 旅の準備

IAサミット@ラスベガスとシアトル中央図書館フィールド調査のため渡米。まずはシアトルへ向かう。

旅支度をしながら、「旅の準備」というより、「日常の移動」の観点の準備が多いことに気づいた。

具体的には、ACアダプタや、バッテリ、ケーブルのたぐい。

  • PC(ACアダプタ類も)
  • iPod(ヘッドフォンとUSBケーブル)
  • 携帯(ACアダプタ類も)
  • デジカメ(充電器、予備バッテリ、予備SDカード)
  • ビデオカメラ(充電器、予備バッテリ、予備SDカード)

これらの日常品は、旅に行く直前まで普通に使っているものなので、なかなか旅支度に放り込めない。かつ、電子機器類はバッテリとかメモリが切れると使い物にならなくなる。

特に、携帯が3Gになってそのまま持ってくれば海外でもつかえたり、米国なら無線LANがすぐにつかまったり、電子機器類は120V-240Vにそのまま対応するので、ますます「いま使っているものを鞄に入れて出かける」状態に近い。のわりにアダプタ類が面倒、ということなのだが、これを解決するには、非接触型の充電フォーマットが普及して、どこでもACアダプタなしで充電できるようになる、とか、バッテリの形状がある程度標準化されて、充電器がいろいろなところに用意される(コンビニの携帯充電スタンドみたいなもの)、ということが必要だろう。

じゃないとトランクがACアダプタだらけになる。かつ、PCとか空港でもぎりぎりまで使っているので、手持ち鞄にACアダプタを入れることになるので、機内持ち込みの荷物が無駄にでかくなる。やれやれ。
(070318追記)結局iPodのUSBケーブルは忘れてきた。初日にバッテリが上がったiPodをどうしてくれようか(シアトルにApple Storeはない模様)。

061105: さらば香港

今日で最終日。といいながらも午前の便なので今日はほとんどなにもできない。つまり移動日。

しかしながら、実は僕は旅行のなかで、移動という行為がすごく好きだ。特に移動のためにトランジットで立ち寄る空港というのが好きだ。この、特にその場所には目的がなくて、おまけなのにいろいろ見られる、のがいいのかもしれない。過日カナダへ出張へ行った際も、(これは望んでではないのだが)飛行機が関空経由になってしまい、面倒は面倒なのだが羽田発で海外へ向かう、ということや、関空自体の訪問はけっこう楽しかった。まあ、関空自体はなんの変哲もなくてつまらなかったんだけど。

これまでも学生時代にすこしでも旅費を安くするためにマレーシアエアーを使って、クアラルンプールに1日滞在したり、アエロフロートでモスクワ空港を見学したりと何カ所か立ち寄ったが、けっこう楽しんで立ち寄っていたと思う。これは今も変わらない(費用より時間を優先すべき局面は増えているけど)。

香港は、チェックアウトした後タクシーで香港駅へ移動。そこで、Airport Expressという電車のチケットを買って、その場で航空機のチェックイン。Airport Expressを使う人だけチェックインできるとのこと。カウンターでエコノミープラス(エコノミー以上ビジネス未満)へのアップグレードを交渉したら難なくOK。預ける荷物はないので、チェックイン後エレベーターで電車ホームへ移動し、20分ほど電車に乗って空港へ。空港もホームから降りるともうそのフロアが空港のチェックインカウンターフロアになっている。チェックインはすんでいるのでそのまま通り過ぎて入国審査も同じフロアで完了。このあたり、新宿駅→成田空港駅→成田空港内チェックインカウンターへ、の流れに比べると実に動線設計が考えられている。成田も関空もこのあたりありえないくらい複雑だ。羽田は国内線オンリーと言うことでかろうじてシンプル。

空港内で朝食をとり搭乗ゲートへ。ここでなぜか荷物を全部開けさせられてチェック。液体ものはもちろんだめだが、着替えや土産の袋まで全部開封させられた。SOHOで買った瀬戸物は厳重に梱包されていたので、わざわざX線を当ててチェックする念の入れよう。おかげで時間ぎりぎりでした。

帰りの飛行機ではパイレーツオブカリビアンの続編を見る。つ、つまらん。。。どうなってるの?

成田に着くと、ちょうど新宿行きの成田エクスプレスが行ったばっかりで1時間待ち。なのでバスで新宿へ行き、会社によってから帰宅。家で米を炊いて出かける前に凍らせた秋刀魚を解凍してナンプラー煮にしていただく。

061104: 香港滞在3日目

昨日朝食にお粥を食べ損ねたので、前日目星をつけていた露天のお粥屋へ。僕はモツ粥、連れ合いはピータンお粥、それに揚げパンと肉入り腸粉(米クレープ)。驚くことにモツ粥は4種類くらいのモツが全部入っていた。臭みはほとんどなくてお粥自体にダシとして味がついている。ピータン粥はすんなり劇ウマ。両方とも15$HK(=230円くらい)。こんなお粥なら毎朝食べたい。

満足した後、若干迷ったが、上環へ移動しフェリーに乗ってマカオへ。

マカオ(Flickr) >>

マカオは予想していたこぢんまりとした島ではまったくなくて、巨大カジノホテルが連なるところだった。港に着いた段階ではまったく島、という感じではなくて、たとえていうならアトランティックシティーの港のような感じ(たとえになっていないが)。あるいは雰囲気的には伊東のあたりみたいな感じ。

タクシーに乗ろうとするがあまりにも怪しいのでバスにする。余談だが、香港滞在中はあきらかに怪しいタクシーが多く、わりと公共機関を多様した。ちょっとでも広東語が話せると違うらしいが、タクシー運転手は意図的なのか英語を解さない人も多かった。そのまま観光のメッカであるセドナ広場へ。セドナ広場は小汚くした代官山アドレス前みたいな感じ。そこからとことこ歩いて散策する。

街は驚くほどフォトジェニックで、晴れ渡った天気もあってかいちいち絵になる。町並みの特徴としては話に聞いていたほど統治元であるポルトガル風建築という感じではないが、なぜかどの家も雀の涙ほどのベランダに柵がついていて、いちいちかわいい。道も、これはヨーロッパの影響なのかもしれないが、石畳が基本になっていて、そこに3,4階建ての家が並び、道という道が路地のようになっている。ふつうに道を歩いていても見る風景見る風景切り取って写真にしておきたくなる。街の人々は広東人の人が多いのだが、香港に比べると喧噪の具合が全然おだやかで、みなかならずご飯を食べているか麻雀をしている。

小一時間くらい散策して、昼食。麺屋でジャージャー麺を頼むと、日本の(仙台の)ジャジャ麺とは全く違って、細麺に肉あんがかかった麺。焼きそばっぽい印象。またバスに乗り、フェリーに乗って上環へ戻る。

中環へ移動し、町中を貫くエレベーターに乗ってSOHO(なにがSOHOなのかわからんけど)
へ。途中英国風カフェで紅茶を飲み、はじめてここが元英国領であったことを思い出す。それくらい街に英国の影響は残っていない。露店を見ながらぶらぶらし、そのまま尖沙咀へ戻り、今日は広東料理レストランへ。が、広東料理の神髄のフカヒレやら燕の巣やらには手が出ず、わりと普通の料理にまた紹興酒。一度ホテルへ戻り疲れた相方を残し、夜の露店街へ。昨日の朝市の町並みは夜には偽物市場ともいえる露店街へと変わっていた。翡翠(一個10HK$くらい)やら、偽物時計やら、値切ってなんぼの縁日みたいな活気。その周りには昼間はこぢんまりと店内で営業をしていた食べ物屋たちが、店の数倍にも場所を広げて満ちいっぱいに営業している。そこには西洋人東洋人が入り交じっておいしそうに飲んで食べている。さっきいった高級(っぽい)広東料理レストランよりあきらかにおいしそう。しまった、こっちで食べればよかった。今度香港に来たらもうガイドブックに載っている店には行かないでこういうところで食べ尽くせばいいや。

ホテルに戻り、荷造りをして就寝。

061103: 香港滞在2日目

香港について一日目。今回は無目的かつうまいものでも食えれば、的なお気軽モードなので、早速朝食にうまいものを探しに出かける。ホテルから数ブロック離れたNathan St.東、Jordan Rd.北あたりの裏道に入る(廟街夜市:Temple St. Night Marketが開かれるあたり)。粥か麺と思っていたとところで麺屋に遭遇。そこで蛋の字をたよりにえいと注文してみたら、スパム+目玉焼き麺だった。。。うう、上から2段目にあったのでもうちょっとふつうのものかと思っていたけど。。。味はそうぞう通りスパム味。まあ、よくいえばスパムの油分がだしになっている。スパム自体はきらいじゃないので、まずはぜんぶ食す。食後にスープに机にあったXO醤を入れてみたら味がまとまった気がする。

腹ごなしに歩くと、裏通りで朝市が開かれていた。怒鳴り声とともにほうぼうで肉切り包丁で肉をさばき、1メートル以上もある名も知れぬ魚が解体されていく。見たこともない、あるいは見覚えはあるが知っている大きさとは違う野菜たちがどんどん買われていく。この活気が観光客も訪れる日本でいえば銀座通りのほんの数百メートル裏でくりひろげられている。まったく声がでかくないと生きていけない街だ。

香港朝市(Flickr) >>

歩いて南下して九龍公園へ。その後九龍城砦跡地のエリアへ(正確には九龍公園が跡地なわけだが)。このあたりの歴史的背景をまったく知らずに来ているのが後に、「転がる香港に苔は生えない」でいろいろと学ぶ。このときは、その雑然感に活気を感じるにとどまる。たとえて言うと歌舞伎町。

ここでうまれて初めてマッサージをいろいろとやってもらう。結論からいうとあまりマッサージは必要ない体かもしれない。今度は鍼とかお灸とかやってみたい(純粋に興味から)。

続いてせっかく香港に来たのだからと尖沙咀へ飲茶だろうとガイド片手に店に入るもランチタイムを過ぎていてNG、Star Houseにある別の店を紹介してもらう。で、Jade Restaurantというところに入り点心いろいろいただく。お茶(何も言わなかったのでジャスミン茶が出てきた)をがぶがぶ飲みながら比較的安い点心を食べるのは昼食としてはバランスもとれていていい風習だな。そのまま隣接するショッピングモールに行き、相方の衣類等を購入。

食後に上環へ移動、古物商街を散策しようとするもわりと閉店気味。が、街は九龍ほど殺伐としていなくかつ中環ほど近代化していなく、バランスがとれている感じ。渋谷でなくて新宿副都心でなくて、恵比寿、という感じかなあ。そのまま中環へ移動して観光客モード全開でPeak Tram(山頂鉄道)に乗り、The Peak(太平山頂)へ。Peak Tramはヒモで引かれて上るケーブルカーなのだが、ありえないくらい急な勾配を上る(いま調べたら最大27度)。山頂は思ったほど混んでおらず驚いたことに一大ショッピングモールが広がっている。そしてみんなそこで食事買い物にいそしんでいる。夜景は密集した街を高所から見下ろす場所の利でほんときれいでした。人工物みたい。

関係ないが「人がいっぱいいること」はずっと「混んでいる」と書くものだと思っていたが、「込んでいる」 でもよいらしい。「込んでいる」は間違いだと思っていた。

山から下りて尖沙咀へ戻り、ホテル近くの上海料理レストランへ。ちょうど上海蟹の時期なので、上海蟹を蒸していただく。料理は他に小エビを蒸したもの、野菜の塩炒め(なんの野菜か失念)、野菜そば。小エビ蒸し(塩味)が飽きないおいしさだった。もちろん上海蟹はおいしさが凝縮されていてふつうにたべる蟹とは比べられないおいしさ。干し梅を浸した紹興酒が進む進む。

歩いてホテルに戻ってすぐに就寝。