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IA観点でのkoboレビュー

(2012/7/24 修正・追記しました)

さて、さっそく期待のkoboを使ってみた。

表現についてのレビューは、コンセント伝わるしくみ室シツチョーのレビューを参照ください:

koboが会社にとどきましたよ|サストコ
http://sustoco.concentinc.jp/from-editors/2012/07/kobo-first-impression/

UIのレビューは、以前もやったので、ここではIA観点からのレビュー。

kobo

kobo

Kindleのユーザー体験|underconcept
http://www.underconcept.com/blog/archives/415

koboの功績の一つは、日本においておそらくはじめてちゃんと読みたいコンテンツを当初から用意したこと。つまり、つまり書店で平積みされている小説やマンガがオフィシャルコンテンツとしてある。

これまでのこういったデバイスやプラットフォームはそういった王道ものが扱えなかったので、わざわざ「電子書籍マンガジャンル」を開拓する必要があった。

まあ、読みたいものを読む方法として、自炊とかやり方はいろいろあったけど、8,000円のデバイスで、アカウント登録すればコンテンツをデバイスからさくさく買えるのはありがたい。

(関係ないが、CMのトーンや、デバイスのアイコン等、Apple感の演出をかなり誠実にやっているのも、興味深い。そして、CMとしてもわりと成立していると思う。)

リリース当初からリアルタイムでマンガ等もラインナップが充実している気がする。
たしかリリースのタイミングでは数冊しかマンガがなかった気がしたんだけど。

で、早速「主に泣いてます」1〜5とか買ってみたりしたのだが、このマンガの巻数の扱いがデバイス内でされていないことが大きな課題といえる。

つまり、一巻一巻が独立したものとして扱われているので、

  1. 買うとき
  2. 読むとき
  3. 読み終えて、次が読みたいと思ったとき
  4. まとめて買おうと思って、3巻買って、次4巻、と思ったとき

にことごとく、巻数に関しての情報がゼロリセットされてしまう。

1.買うとき

まず、何巻まで自分で持っているかわからない、というようなコンテクスチュアルな問題はさておき、書籍の一覧表示で巻数が表示されないという致命的な欠点がある。

一覧では、書名+サムネイル(白黒)が表示されているのだが、書名には、「宇宙兄弟 -小山宙哉」しか書かれておらず、肝心の巻数が表記されていないのだ。テルマエ・ロマエは書名に巻数が入っているのだが、ここは標準での巻数表記+巻数ごとのグルーピング+巻数順表示はデフォルトでやってもらいたい。

kobo content list

kobo content list

2.読むとき

読むときもしかり、マンガは巻数の区分は物理的制約でしかないわけで、むしろつなげてくれてもかまわないのだが、自分の書棚にしてもそういったグルーピングはサポートされていない。

なので、「ライブラリ」カテゴリに同じマンガの似たような表紙が並ぶことになる(リスト表示だと巻数がわからないから、なおさらサムネイルモードになって、一画面あたりの表示件数が減る)。

3.読み終えて、次が読みたいと思ったとき

前述したように、巻数は物理的に販売単位を分けねばならないレガシー仕様なわけなので、読むときくらいは続けて読みたい。→続けて読めました

持ってなかったら1クリックで買えるようにするとか、読み終えた次巻をそのタイミングで買えばディスカウントされるとか、やりようはいくらでもある。

(追記)マンガについて、連続して読む機能があったことが判明。4巻が終わると自動で5巻が始まる。が、そのことを知らなかったのでほぼおわりまでいったと思った時点で自分でホームに戻って、次巻を選んでしまっていた。

4.まとめて買おうと思って、3巻買って、次4巻、と思ったとき

このまとめ買いができないのは大きな欠点。仕様的に難しいのは理解できるが、ユーザー文脈的には最も必要かもしれない。

まあ、現段階では書籍の単価も高いので、kobo専用で(koboにはデスクトップバージョンがあるのだが、現段階では読む機能は使えない)、この価格でまとめ買いする?というのはあるが、長期的に見たとき、このまとめ買いがないと連作ものはつらいと思う。

あと、今回試しに「主に泣いてます」1〜5巻を買ってみたが、基本的に買うプロセスではクリックだけで買えるので、手順さえ改善すればよくなると思うのだが、確認メールが購入単位でばらばらに来るのはいただけない。一定時間で買った分をまとめてメール送付等はしてほしい。

番外編.おすすめのUIセッティング

全然IAではないが、デフォルトのセッティングから、「画面右端は次ページ、左側は前ページ」というページ進行方向とは逆向きのセッティングにしたほうが読むときには便利。右手でデバイスを持って、親指で次ページに持って行ける。「右を押して左に進む」のが気持ち悪く感じるかもしれないが、使っていると気にならなくなる。

Kindleのユーザー体験

あんまし普通の日の備忘録は面白くないことがわかったので、やはり特定のトピックに絞って書くことにしてみる。

最近Kindle 2がリリースされたが、そういえばKindleが出たとき(一年前)に購入しレポートを書きながらお蔵入りにさせていたのを思い出し、を今日のエントリとする。

ようやくAmazon Kindleを試した。
まだ、日本国内では販売をしていないが、評価のためにeBay経由で購入した、が、内蔵されている通信機能でアクティベートが必要なため、メニュー画面を眺めるしかなかった。
先日ちょうどIA Summitのため米国を訪れたため、無事にアクティベートさせることができ、基本的な機能を試すことができた。

まず、起動してみての印象は「銀河ヒッチハイクガイドみたい」。
銀河ヒッチハイクガイドとは80年代に書かれたダグラス・アダムスのSFで、2006年に映画化もされている。この3部作の小説は(最近2部作追加された が)、銀河バイパス建設のために破壊された地球からヒッチハイクをして逃げ出したアーサーとフォードの物語。この小説で重要な役割を占めるのが銀河を渡り 歩くのに欠かせない、「銀河ヒッチハイク」というガイドブック。このガイドブックには宇宙すべての場所の情報が網羅されている(ちなみに地球については 「ほとんど無害」という記述だった、改訂されたみたいだが)。小説版ではその姿は想像するしかなくかなり謎だったが、映画版ではオンラインコンテンツ ビューアー的なデバイスとなっていた。
動き出したKindleはちょうどこの銀河ヒッチハイクガイドみたいな感じだった。

と、余談は置いておき、具体的なKindleの特徴を分析してみる。

これまでも、Plamだったり、携帯だったり、SONYの電子ブックビューアーだったり、iPhoneだったり、いろいろなデバイスで読書は試みているが単にデジタルデータ化された本データをブラウズする、だけではない感覚がある。

第一印象

まず、サイズ、フォント、重さといった経常的な特徴としては、読む気にさせるデバイスだと言える。
ためしにサンプルをいくつかダウンロードしてカフェやベッドで読んでみたが、けっこう何ページ分か読んでも実用的。

実用的というのは、まず読んでいて疲れない。
携帯で文章を読むと、一画面に表示される量が少なすぎて、目で文章を追いながらスクロールさせる必要があり落ち着かない。
ここが大画面液晶のせいでストレスがない。

表示がE-Inkという特殊なディスプレイなのでいちいち挙動にタイムラグがあるところはあるが、まあ、本文を読んでいるぶんには許容。
ウェブブラウジングだとちょっと厳しいかもしれないが、そういうデバイスではない。

また、ページめくりも、Kindle 2の時点では評判が悪かったという評価が下されているが、デバイスの右端全体がページ送りボタンになっており、読書に没頭して読むときには片手で読めるために使い勝手がよかった。

むしろ、寝転がって読むときなど、始めと終わりで持つ本のバランスも変わらないし、右側と左側で体勢を変えなければならないような読み方をしなくてよいので、これはあたらしい読書体験だった。

あと、細かいがせっかくE-Inkを使っていながら、電源が裏側にあるので、ついいれっぱなしにしてしまう。

このせいで使いたいとき電源が切れることが多い。

メニュー構成

操作する際のメニュー構成はわかりにくい。

独特のくるくるナビ(上下)とそのクリックによるメニュー選択を採用しているが、この操作と「前ページ」「後ページ」のボタンとが完全に独立している。

E-Inkの仕様上、タッチパネルにはできないので、画面内に選択肢が出てくると、画面右側にある物理的なゲージのようなものの中のカーソル(水銀式体温計の水銀みたいに見える)をくるくるダイヤルで動かす。
と、文章で読んでもよくわからないが、まあ、独特の操作ダイヤル。

これはまあ、いいとして、問題はこの操作と、本のページ送り、戻りが完全に別系統になってしまっていること。

頭の中ではなんとなく「メニュー第一階層の選択肢の決定」と「次」が同じ機能に感じられるのだが、これが別系統なので混乱する。

また、ページナビゲーションには工夫が必要(ダイレクトジャンプ、章立て)

このあたりは、Kindle 2で改善されているのか注目される。
(されていないようであれば我々の仕事になる、ということですね)

ネット接続

高速ネット接続は速いし便利。

特に契約とか接続をしなくとも米国内にいれば高速ネット接続され、コンテンツは勝手にダウンロードされる。

このシームレスさは、快適でAmazonには投資になるだろうが、十分それに見合うユーザー体験を提供できていると思う。

っていうか、一般の人にはこのありがたさはむしろ気づかれないと思うのだが、その気づかれない、というのが重要。

普通は、ここは「面倒」というネガティブなニュアンスで気づくところだからだ。

本当に使いやすいインターフェイスは見えない

本当に望むこと

でも、本当に望む改善点はそこではない。

たぶんKindle 2にも搭載されないと思うが、改善(追加)してもらいたい機能がある。

それは、「物理的ブックマーク」

Kindleはその性質上、大量の本を収納できる。

かつそれらは全部読みかけにできる。

そうなったときに、「さっきまで読んでいたThe Blank Stateを途中から読もう」「あ、Designing Web Navigationのあのページあのページ」といったような、あの本のあそこを参照したいシチュエーションが起こることが想定される。

そういったモチベーションの時に、メニューからブックマークを選んで、というのはあまりにも面倒。

そんなときに欲しいのは、

R0010535

こんなふうに、物理的に飛び出てくるしおり。

ページを見ながら「このページにしおりをはさみたい」と思ったら、にょきっとこういったブックマークが出てくる。

次にそこに飛びたいときは、そのしおりを引っ張れば自動的に端末は立ち上がり、そこにジャンプする、という仕組み。

これって特許とかもとれそうだな。