IAS13を終えて

IA Summit 2013(IAS13)が、米メリーランド州ボルチモアにて開催された。

今年のIASはひとことでいうと、「IAのDisciplineの再確認 Re-confirm the discipline of IA」であった。

昨年までのジャーニーマップ、クロスチャネルなどの「UXデザイン時代のIA」から比べると、テーマとしてはわかりにくいところもあるが、これはIAの新しい時代の始まりともいえる。

例年のIAサミットの特徴として、前年度サミットでトレンドだったテーマは、翌年度には一般化しているということがある。

ビジュアルシンキング、コンテンツストラテジー、クロスチャネルプラニングとこれまでのテーマとなっていた内容は、今年のIASではことごとく内容に溶け込んでおり、そういった意味では順調な進化を遂げてきているといえる。

たとえば、クロスチャネルにおけるメタデータのあり方、クロスチャネルUXのヒューリスティクスなど、昨年にはまだ多くの人がついて行けない内容であったものが、今年は人気を博している。

これは、IASがIA業界において、ある種のトレンドセッターの役目を果たしており、UX/IAに関わる人々はここで得たキーワードをもとに、1年間その分野を取り込んで活動を行っている。

これは、特に先進的なIAが、というわけではなく、むしろ先進的なIAはさらに次の1年のトレンドを開拓し、このIASでアウトプットしているといえる。
(正確に言うと、IASのCFPは会誌の9ヶ月前程度から始まり、半年前にはすでにプログラムは決まっているため、トレンドはさらに1年前に設定されているともいえる。このため、IASの会場では、その年のトレンドになっている書籍はすでに売られている状況がある。また、書籍については、Rosenfeld Media、A Book Apartなどのインディペンデント出版社のスピード感が効果を上げている。)

日本においては、未だIAについての体系的な学習が進んでいないため、こういった現代のIAと、いわゆる古典的IA(Classic IA/シロクマ本)とも整理されていない状況もあるが、これは世界を相手にしようと考えたときには大きな負い目であるといえよう。

それはさておき、昨年までの明確なトレンドのテーマに対して、今年は目玉がなにかというとそこまで派手なテーマがあったわけではない。

しかしながら、プレカンファレンスワークショップながら大勢の参加を博し、会期中もことあるごとにさまざまなセッションで言及されていたAndrea Resminiの「Reframing IA」セッション、クロージングキーノートのKaren McGraneによるメッセージ「Great time to be an IA(IAであることに最も適した時期)」と、こういったここ数年間の取り組みを経て、いまデザインにおけるメインストリームの位置につく準備を整えているようにも見える。

思えば2009年のIASでは、JJGによって、IAに死が告げられた。

それは、UXという新しい観点の興隆を示していた。

「IAはUXデザイナーだ」という提言は、それまで、IAという業種が担っていた「Webデザインにおいて、ビジュアルデザイン、コーディングなどの前工程である、ユーザー観察、コンセプトデザインなどの上流工程から担当する人」というイメージを正しく解釈するキーワードとしてはある意味適切なものである。

つまり、ここで定義されているUXのデザインとは、いわゆるHCDプロセスを、プロジェクトに導入・実現しする、という意味で、UXアーキテクト、UXストラテジストと呼ばれる職種名がより適切であり、確かにIAではなかったのだ。
その意味でこの「IAの死」とは、正確には「IAという名のブラックボックスを正しくひもといてみたらその内容を担当する人は、UXアーキテクトと呼ぶべきであった」ということだったのだ。
(ちなみにUXデザイナー、と呼んだ場合は、ニュアンスとして担当すべき範囲がもうちょっと後工程寄りになる)

そこから、IAの本質的意味がなんであるのか、本当にIAが死んだのか、という模索が始まっていった。

たとえば、IASの常連であり、Boxes and Arrowsの編集グループメンバーでもある、The Understanding Group(TUG)のDan Klynは、この「IAの死」2009年から、Ontology(意味論、意味)、Taxonomy(分類学、分類体系)、そしてChoreography(舞踏法)という3段階でIAを理論化しようとしている。

また、僕もAndreaのワークショップ中にTwitterで言及した、Nathan ShedroffによるIAのコンセプトモデルも同じようなことを言っている。

http://gyazo.com/f98fdaa9f5ad6368a37ce328c2dabc44

Reframing IAワークショップは、IAのDisciplieという第一部のセッションで、「IAは新しい意味を生み出せるのか」が主要な議題となった。

このときに僕が感じたことは、「IAはdataを生み出すものではないかもしれない、しかしながら、informationをknowledge、widsomにできるのはIAであり、そして、knowledge、wisdomは重要な意味である」ということであった。

これはIAにおいては一つの真理になりうる概念あると思う。

UXという観点は、特に企業のマーケティングを考える際に本質となる。
つまり、「顧客に何を提供すべきか」を考えたときに、それは物、ではなく、それは体験、という、パラダイムの変換があり、それを支えるのがUXデザインとなる。

このことは、別の言い方でサービスデザインとも呼ばれる。

これはこれで重要であり、だからこそ僕自身も、コンセントという会社もそこにコミットをしているのだが、僕自身がデザインしたい対象は体験ではなくやはり情報である。

しかしながら、自分マーケティングを考えたとき、情報のデザインが一番活きる分野が体験のデザインであり、だからこそIAがUXデザインの分野で活躍できている状況もある。

IAとUXは本来目指すものも、方法論も異なっている。
しかしながら、世の中全体の新しい価値観の変革においては、比較的近い。

集合としてどちらが広いか(包含しているか)で語るべきではない、位相の違いがそこにはある。

このあたりをより深掘りをしなければならないということを感じている。

IAS13を終えて」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: IA SUMMIT 2013 Redux Tokyoに今年も参加してきました。 | future-proof.jp

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