IDEO Palo Alto

去る7/20、HCD-Net Tourとして、シリコンバレーのIDEOを訪問した。

IDEOはいわずと知れた世界最大規模の「デザイン会社」。

コンセントも会社の方向性や運営方法などについて大きく影響を受けている。

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IDEO社の正面玄関

もともと先日IDEOを訪問したカヤックのやなさわさんに、スタッフの方を紹介してもらったのが(IDEOではオフィシャルツアーはなくて、スタッフがボランティアでツアーしてくれる)、事前に僕があまりにもいろいろ質問したからか、特別に(?)IDEO FellowというポジションのBarry Katz博士にに案内してもらえることになった。
(ちなみに玄関を入ったら、ファウンダーのBill Moggridge氏がたまたま歩いていた!)

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Dr. Barry Katz

一通りのツアーと、会議室でのQ&Aでおもてなしいただいた。

なかでも大変有意義だったのはQ&Aのセッション。

IDEOといえば、デザイナから文化人類学者まで、幅広い人材でプロジェクトにあたることで有名だが、質問は以下の3点:

  1. プロジェクトへのリソースのアサインは誰が判断するの?
  2. プロジェクトの品質管理はどうやってやってるの?
  3. プロジェクトリーダーはどうやって選出するの?

どれも、我々コンセントでも常々議論になるところだが、不定形のプロジェクトにあたる会社であればどこも直面する課題だろう。

1. プロジェクトへのリソースアサイン

基本的にIDEOでは、個人のプロジェクトへ参加の希望に添った形でアサインがされる。

各プロジェクトでは「コアメンバー」が5名程度選出されるとのことで、そのコアメンバーは全アサイン可能リソースを大きくプロジェクションしながら毎週のアサイン会で決めているそうだ。

また、社内では医療、とか乗り物といったようにいくつかの業界ごとに大きくグループがわかれており、受注時にはその単位でアサインを検討するとのこと。

コアメンバー以外のメンバーはコアメンバー判断で依頼を行うとのこと。

2. プロジェクトの品質管理

次に疑問に思ったのが、そういった多種多様なプロジェクトで、「会社としてのGO」はどういう形で出すのかという点。

これについては、シンプルに「プロジェクトメンバーのみの判断」とのことだった。

つまり、全社としての品質管理等があるというわけではなく、プロジェクトメンバーのアサイン時にクオリティ責任もいっしょに委譲するということ。

これは、言うは易いが行うのは難しいと思うが、そこをやれているのは素直にすごいと思う。

そして、

3. プロジェクトリーダーの選出

これが、また「プロジェクトメンバーの中で誰でもよい」とのこと。

あくまでプロジェクトごとメンバー全員で品質にも責任をとるので、リーダー(いわゆる「ディレクター」)は意欲があれば誰でもやってもらうということだった。

入社数ヶ月の人が担当したこともあるとのこと。

これも、「プロジェクトの品質はプロジェクト全体で責任をとる」の原則から導かれたものであるが、こういった柔軟なアサインメントは教育やモチベーションにも寄与し、また、問題解決の手段やプロジェクト設計の多様化につながるために、合理的である。

このあたりは、ぜひコンセントでも試してみたい。

といったような話を、質問ベースでいろいろと教えてもらえたのが一番の収穫だった。

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ミーティングルームでいろいろと質問

全体ツアーでは、シマノの自転車のモックアップとか、アフリカに輸出した「現地調達できるもので作れるくみ上げ井戸のデザインプロジェクト」やら、全国の面白いマテリアルを集めたブーストか、社外も含めたエコプロジェクトのライブラリとか、を見せてもらった。

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Palm Pilotのモックアップ

読んだことがない人は下記書籍はぜひ。


発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法

IDEO Palo Alto」への2件のフィードバック

  1. さと

    メンバーのアサインにしても品質管理にしてもリーダー資質をもったメンバーの集団という側面にしても忘れては行けないのはIDEOの入門は非常に狭き門、ということ。

  2. Atsushi 投稿作成者

    そうですねえ、そこは外せないですね。
    メンバーで品質管理するってことは、アサインの時点でそれを任せられるって判断をしてることですもんね。

    まあでも、一般論として設定するマインドセットとしても、参考になります。

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