HCD-Netシンポジウムと電子政府ユーザビリティガイドライン

5/28-29に、札幌市にてHCD-Netシンポジウムが開催されました。

HCD-Net|HCD-Netシンポジウム2009
http://www.hcdnet.org/event/seminar/hcd-net_2009.php

初日に開催されたセミナーでは、長谷川もHCD-Netサイトリニューアルプロジェクトを題材にして、3時間にわたってデザインプロセスについて講義をさせていただきました。
この模様は、後日ビデオにて公開予定です。
いやー、3時間しゃべる続けると声が枯れますね。

さて、二日目は、HCD-Netセミナーと、札幌市円山動物園のサービスエンジニアリングのケース紹介が行われました。

HCD-Netセミナーでは、HCD-Netで主催した地方自治体ウェブサイトのユーザビリティ評価と、来春から施行される電子政府ユーザビリティガイドラインの概要とHCD-Netの活動について講演がありました。

地方自治体のユーザビリティ評価は、HCD-Netが毎年行っているもので、利用コンテクストを組み入れた評価を行っている大変ユニークなアワードです。
今回の報告では、結果報告とそこから得られたベストプラクティスの紹介が行われました。

このベストプラクティスの観点は、一般のウェブデザインにおいても有意義なものであるので、今後なんらかのドキュメントとして公開する予定です。
こちらもビデオが公開されます。

電子政府ユーザビリティガイドラインは、HCD-Netのメンバーも検討委員会に加わり議論を続けてきたものですが、現在ベータ版が公開され、パブリックコメントを募集しています。

「電子政府ユーザビリティガイドライン(案)」に関するパブリックコメントの募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=060090520&OBJCD=&GROUP=

電子政府ガイドライン作成検討会
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/guide/index.html

このガイドラインは、日本の政府が、単純なチェックリストではなく、プロセスとしてユーザビリティをとらえた、記念すべきものですが、影響も大変大きいため、発表の際には、多くの質問が交わされました。

ガイドラインの内容は、千葉工大の山崎先生のblogを参照ください:
http://kazkazdesign.blogspot.com/2009/05/blog-post_1322.html

私長谷川もTwitterで実況したのですが、その内容を再録します(twitter.com/ahaseg/):

電子政府ユーザビリティガイドラインを黒須さん@放送大学と山崎さん@千葉工大から紹介。パブリックコメント募集中です。 http://bit.ly/yfId2

Q:電子政府ユーザビリティガイドラインの適用開始時期は? A:スタートは早ければ来年度から。すくなくともいくつかの府庁では実施するのではないか?(黒須氏)12:39 PM May 29th from web

Q:どこまで適用されているかの判定は? A:罰則はないが、各省庁で年度単位で管理する。運用方法は今後議論される。(黒須氏)12:42 PM May 29th from web

Q:プロセスで必要な「ユーザビリティ専門家」の資格認定について A:現在議論されているが、いくつかの団体による資格認定が有効になる可能性がある。12:44 PM May 29th from web

Q:セキュリティガイドラインの策定は半年後とのことだが? A:技術的な検討で遅れている。(黒須氏)12:48 PM May 29th from web

Q:ガイドラインで対象としているプラットフォーム・メディアは? A:今回のガイドラインは電子政府についてのものなので、Webサイトを対象としている。組み込み系等は今後検討されていく。12:50 PM May 29th from web

Q:「ユーザビリティ専門家」は「Webユーザビリティ専門家」なのか?A:HCD-Netとしては、Webに限らずHCDに関わる全分野のユーザビリティについての認定を行うつもりでいる。ただし分野ごとに特性はあるため、6分野に分けて専門性を議論している。(黒須氏)12:52 PM May 29th from web

Q:中央から地方への適用の方針は? A:希望的には中央の成功が地方に伝わって、自主的に適用を始めてほしい。(黒須氏)1:00 PM May 29th from web

(続き):このガイドラインの画期的な点は「ユーザビリティ専門家」を国が公的に認めたところ。地方でも「ユーザビリティ専門家」が認知されることで状況はよくなるのではないか。(山崎氏)1:01 PM May 29th from web

Q:現在30%の利用率を50%まで向上させる狙いとのことだが、民間への波及を考えるとコストパフォーマンスはどう考えればよいのか? A:官と民ではパフォーマンスの定義は異なる。電子政府では「広く使える」ことを狙いとしている。(黒須氏)1:02 PM May 29th from web

(続き):付属文章の中に数値目標の考え方も示されている。ROIは今後より意識される必要がある。(鱗原氏)1:05 PM May 29th from web

以上、電子政府ユーザビリティガイドラインに関してのQ&Aでした。1:05 PM
May 29th from web

この質疑にもあるように、民間ではそのまま適用、というわけにはいかないと思いますが、意識しておくべきものとして有効であるように思います。

最後の、円山動物園のケーススタディは、札幌市立大学の原田学長と、前円山動物園園長の金澤氏の講演でした。

「北海道の動物園」というと、旭山動物園をすぐに思い浮かべてしまいますが、旭山動物園のように、「ハード」を用意できない制約の中で、いかにサービスを向上させていくか、というケーススタディは、すでに有名なブランドを持つところ_以外_の、多くのウェブプロジェクトでも大変参考になる話ではなかったかと思います。

こちらも、追ってビデオを公開します。

HCD-Netシンポジウムと電子政府ユーザビリティガイドライン」への2件のフィードバック

  1. lee@sapporo

    先日はありがとうございました。
    大変貴重な時間でした。

    札幌の観光はできましたか。

  2. ピンバック: chibirashka journal» Blog Archive » UPA2009@Portland報告会

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